「富嶽」回路図

1999.5.13
2003.8.26 revised

無単位の数字は抵抗(Ω)、コンデンサーは分子が容量(μ)を、分母が耐圧(V)を表しています。
 カップリング・コンデンサー以外は総て電解コンデンサーです。

[信号回路]

回路の説明

  初段6922、位相反転5687ムラード型、カソフォロ段5687という構成で、各段の電源は安定化されています。位相反転の5687のグリッドに入っている200Ωは発振止めです。
  出力段のバイアスはカソフォロ段のバイアスを変化させてい調整します。300KΩのボリュームでバイアスの深さを、50KΩでプッシュプルの出力球の差を調整します。
  「富嶽」のPOWER STAGEはUX4pinとOctalの2つのソケットを搭載していて、これら2種のソケットの球、即ち殆どの球をソケットアダプターなしで使うことができます。分かり難い図ですが、上からUX-Octal-UX-Octalとソケットが並んでいる積もりです。1桁の数字はピンの番号、括弧内はそのピンの用途を表しています。各グリッドに入れている630Ωの抵抗はパラ止めです。
  直熱管のフィラメントは2本まとめて整流します。ノグチトランスのPMC500Mには6.3V-4Aのヒータ巻き線が4回路入っていますが、811やSVETLANA572の大飯ぐらい球にはこれでも足りません。このうち3回路をパラにして片チャンネル用とし、別に6.3V-10Aのヒータートランスを積んでもう片チャンネル分にしています。AC点火で良い傍熱管(bこちらにも6C33や6336Bという巨食漢がいます)用には4回路3接点のトグルスイッチで切り替えます。整流には少しでも熱を少なくするため、電圧ドッロップの少ないショットキー・バリアー・ダイオードを使い、シャーシ上の放熱板に取り付けています。VOLTAGE AJUST RESISTORというのは、約8Vある直流化されたフィラメント電源電圧を球の規格に合わせるための抵抗です。セメント抵抗の両端にバナナプラグを付けたものを数種類用意しておき、シャーシ上に設けた端子に刺して使います。
  G2はテストピンでシャーシ上に出し、同じくシャーシ上に設けたプレート、OPTのウルトラリニアー、+B3の200Vの端子に刺して、3結、UL:結合、5結を選べるようにしてあります。これが回路図にあるG2 controllです。
  Octalの6番ピンは通常使われません。ここをAC100Vに繋いであるのは、ヒーター電圧が50Vの50CA10対策です。50CA10は12ピンの足ですのでソケットアダプター無しでは使えません。2本一纏めのアダプターとしておき、ヒーターの片足同士を予め繋いでおきます。それぞれのもう反対側が「富嶽」側で100Vかかるようになっていますから、これで50CA10も使えるようになります。
  AC100とあるのは50C-A10のようなヒーター電圧が2本で100Vになる球です。まずソケットアダプター間でヒーターピンの片方同士繋いでおきます。次にもう一方のヒーターピンを通常空いている6番ピンに繋いでおきます。これでヒーター電圧が2本で100Vになる球も使用可能になります。

[電源回路]

安定化電源にする理由

  普通のアンプでは出力段の+Bを最も高電圧にしておき、ドライバー、初段と順次CRのデカップリング回路を経て降圧とフィルターを重ねていきます。しかし、「富嶽」のような広範囲での動作を狙ったユニバーサル・アンプでは大元の出力段の電圧を大きく変動させますから、ここを次の電源とシリーズにする訳にはいきません。するとドライバー段(+B2)はリップルの多い整流直後のラインを電源とするとので、高効率のリップル・フィルターとして安定化させます。

  カソフォロ段(+B3)もプラスバイアスで動作する場合はグリッド電流が流れます。勿論そうでないケースにも対応する必要があります。電流量で電圧が変わる事は許されませんから必然的に安定化する事になります。ここは別巻き線を整流しての200Vの安定化電源にしています。マイナス側(-B4)も同様です。またスクリーングリッド電源もカソフォロ段(+B3)と同じ電源からとります。
  初段へはドライバー段からデカップリング回路を経て供給しても良いのですが、+Bの巻き線の電流容量は可能な限り出力段に回したいのでやはりこの200Vの安定化電源から取ります。この3つのラインへはそれぞれデカップリング回路を経て供給しています。

  というわけで、必然的に初段、ドライバー段、カソフォロ段とも安定化電源になってしまいます。

回路の説明

  ノグチのPMC500Mには+B用として400V,360V,320Vの端子が出ています。360Vは+B2用とし、更に180Vのタップを自分で出して400V,320V,180Vを使います。
(トランスの巻線はコアの上端から下端へ巻いて一層作ると、今度は下から上へと繰り返して層を作っています。このためめ中迄ほじくらなくとも端面に一定の間隔の電圧がでています。新たにタップを出すには、針でエナメルを突き差して中の銅線の電圧を探っていきます。適当な電圧に行き当たったら、編み針のようなもので引っかけて少し引き出します。 銅線は余裕が無いので一旦切り、先の絶縁を波がして、タップにします。)
  プレート電流によって電圧降下が異なりますがそれそれ480V,400V,250Vのプレート電圧に対応します。電圧の切り替えは、回路図のように各電圧端子をOctal socketに接続しておき、それぞれの電圧用にピンをショートさせたオクタルプラグを差し替えることによって行います。知らない内に+Bが代わって過大な電圧が球に懸かるのを防ぐ為です。
 PCM500Mには電圧補正用に20Vのタップの出ています。これも0Vタップとトグルスイッチで切り替える様にしました。各電源電圧が少し高すぎる場合にはこのSWで少し落とすことができます。これで計6種類のプレート電圧を作り出しています。
  平滑コンデンサーは350Vの縦型コンデンサーを2階建てにして使っています。シャーシ上にはブロックコンを立てる場所がありません。シャーシ内にブロックコンを入れると他の部品のレイアウトに制限が出てくるため、こういった使い方をしています。鈴蘭堂の最も大きなシャーシSL10を使っていますが、それでも「富嶽」にはややタイトで場所の取り合いになります。これもシャーシ内へ熱を出さないために、放熱ブロックに取り付けてシャーシ上に出してあります。
  リップルの吸収にはFETによるリップルフィルターを使いました。バイポーラではなかなか高耐圧、高hefのものがありませんがFETなら幾らでもあります。発振対策さえうまくいけば、チョークに比べて軽量、省スペース、圧倒的低コストと文句の付けようがありません。
  カソフォロのマイナス電源用にはノグチの小型トランスを使って、SA1009Aで安定化電源としました。
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