全段差動直結 KT88pp 回路図

[信号回路]


*無単位の数字は抵抗(Ω)、コンデンサーは分子が容量(μ)を、分母が耐圧(V)を表しています。
C*のコンデンサーは1000/25。

[電源回路]

+B電源


前段(+B1)および嵩上げ(+B2)電源

初段定電流ダイオード用マイナス電源

[回路の説明]

  前段は12AX7 2本のSRPPで定電流ダイオードで差動になっています。ダイオードの動作電圧はヒーター電源のAC12Vから取り、ツェナー1本で定電圧化されています。出力球のKT88はチェコのTESLA製で、タムラのF683にUL結合。これも2SD970により差動になっており、合わせて2段構成を取っています。各X7のIpは0.5mAで、増幅度はほぼ目一杯の76倍とれています。

  このアンプは3種類、計7個のVRで調整します。
1)上段のX7のカソードのVR5K(計4個)は下段X7の負荷を調整しACバランスを取ります。また、ここは出力段のグッリドに直結しているので各出力管のバイアス調整の役割も担っています。

  上段のカソードに入るこの抵抗は交流的には  抵抗値x上段球のμ として効いてきます。増幅率を上げたいときは負荷抵抗を大きくします。下側球から見れば、これに上側球の内部抵抗をプラスした抵抗値が負荷抵抗として入っている事になります。12AX7の内部抵抗を80Kとしてボリュームを4Kにした時は 4*100+80=480(kΩ) の負荷抵抗になります。一方プレート電流を確保するためには負荷抵抗による電圧降下分を補うため電源電圧を上げなくてはなりません。純抵抗の場合は  480K*0.5mAでは240Vにもなります。しかし、SRPPでは直流的には4Kは4Kなのでずっと低い電源電圧で済むのです。

2)下段のX7のカソード間にあるVR1K(計2個)はACバランス調整後に出力管のDCバランス調整 に使います。

3)このアンプの出力段は全体が80V巻線を倍電圧整流した前段電源(+B1)から来ているVR10Kに生ずる電位(+B2)で嵩上げ されています。

  この嵩上げ電位と前段のSRPP出力差で出力管のバイアスを決定します。更にKT88の共通カソードが差動のために定電流回路に繋がっていますから、バイアスは39Vになります。同じく出力段の+B電圧は(出力段Eb−バイアス電位)の379Vから、定電流回路の動作分を引いて370Vで動作している事になります。
  普通に直結にするとバイアス電位分が熱として放出される上、+Bの電圧が上がって平滑コンデンサーの耐圧が苦しくなり、使用できるPTの制限がきつくなりますが、2階建てにすることによりこれを解決しています。出力は15Wです。

  なお、ラックスキットのパワートランスIS1757の主巻き線は350V/350mAですが、実際には少し高めで380V(AC)出ています。タップ出しを行って320Vに下げて使っています。
  またKT88やSRPPの上段の12AX7ではヒータとカソードに電圧差があり、ヒーターの電位を上げておきたい所です。ヒーター巻き線は6.3V-4Aが2本と6.3V-0.5Aが1本出ていますが、0.5Aの巻き線は初段定電流ダイオード用マイナス電源にあるように6.3V-4Aの1本と繋がっています。このためヒーターバイアスをかけることができません。今のところ定格内ですが、これ以上嵩上げ電源(+B2)やSRPPの電圧を上げる場合には対策が必要です。
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