前作ZERO-ONEで出力段を前段と直結にしてすっきりとした素直な音が得られたので、この方式をプッシュプルに拡張してみました。LUXキットのA3500を「下敷き」にして作っています。このシリーズは同時にLUXキット徹底改造シリーズでもあるわけです。キットの方は初段6AQ8、ドライバー段6AQ8で、ムラード型位相反転になっています。これだと前段は双3極管3本で賄える(次の前段差動 50CA10ppの写真参照)のですが、差動だと4本必要です。増幅度の大きな球で1段増幅すると2本で済みますが、出力インピーダンスが高くなるのでカソフォロやSRPPにして下げる必要があり、矢張り4本になります。思案の挙げ句シャーシ後方前段部分取り除き、100*150の銅板で作ったサブシャーシを替わりに搭載しました(写真上の左部分参照)。 前段は、前作で「実績」のある12AX7のSRPPで差動にしました。直結にすると出力段のカソード電位を前段の+Bにバイアスを加えた分あげなくてはなりません。これを抵抗で賄うと大変な熱を発生するので、「嵩上げ電源」をPTのC巻き線を利用して作り、電位だけで電流の流れない回路にしました。「嵩上げ電源」が立ち上がるまでのKT88保護のため、出力段の+Bにはタイマーリレーを入れてあります。見にくいですがOPTの所にある平ラグ板が出力段の差動ユニットです(写真上の右部分参照)。25mm角のブロック型の放熱器を介してトランスのネジを利用して固定しています。 PP特有の押しつけがましさが消えてZERO-ONEで実験した時と同様に素直ですっきりした音です。時間とともに音がどんどん良くなり、30分経ってウォームアップが完了すると、傍熱感管とは思えない柔らかで繊細な音が出てきます。 KT88がこんなに暖色系の音を出せるとは!!
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