●スイッチによる音の劣化
アンプやスピーカーが「増殖」してくると、どうしても切り替えスイッチのお世話にならなくてはなりません。希に背面の端子を差し替える「猛者」も見受けられますが、鑑賞の感興をそぐこととのトレードオフになってしまいます。左から右へ
アナログ全盛の頃、ロータリースイッチを使って「コントロール・センター」というものを作った事があります。2台のデッキの相互ダビング、2台のメインアンプと2システムのスピーカーの自由な組み合わせを実現し、スピーカーマトリックス方式4チャンネルのリアスピーカーのコントロールまでもできるという「画期的な」作品でした。が、しかし何か違うのです。音が曇る上に定位まで曖昧になってしまいます。この「コントロール・センター」をパスすると元に戻ります。いまでは常識になっている機械的接点による音の劣化でした。以来、外部スイッチは無くし、コードは最短に切りつめ、同軸は平行線のツイストに変更、SPケーブルは2スケ以上の太いものへと「長岡」教に走ったのでありました。
その後マルチアンプ・システムに手を染め、音楽の嗜好もクラシック一辺倒からジャズも聴くようになりました。曲によってスピーカーを切り替えたい、高域をカットする場合とスパーツィーターとパラで鳴らす場合を使い分けたい、普段はマルチシステムのある帯域だけを受け持っているスピーカーをフルレンジで聴きたい等々の欲求が湧いてきます。しかし「コントロール・センター」の苦い経験があるので普通のスイッチは使う気になれません。
[回路の説明]
直列と並列に各々抵抗の入るアッテネッター方式で、直列抵抗は10Kと30Kの2種類です。並列抵抗は8種類なので16段階のボリュームになります。200Kの抵抗は常に並列に入り、切り替え時にノイズが入るのを防いでいます。Rはリレーで、松下のHB2E-DC5Vを使います。2回路2接点で、1個でL,Rの接点を切り替えます。厳密には左右別のリレーの方がいいのでしょうが、インピーダンスが十分低いものとして1接点/1個のリレーで製作しました。直列に入る10Kと30Kだけ2接点を使っていますが、並列に入る抵抗の分は一方が解放になっているので、ON-OFFのリレーでも使えます。これで減衰量は-0.4〜-43.6dBになります。
リレーを切り替えるロジカルとしてはロータリースイッチを使います。信号が直に通らないので接点数さえあれば安物で充分です。ただしショートニングタイプのものを選ばないと、切り替え時に200KΩだけが並列抵抗となり、一瞬大音量が出て驚くことになります。2回路16接点のものが必要になりますが、無い場合は1回路8接点のもので並列抵抗を切り替え、直列抵抗はスナップスイッチで切り替えることも可能です。
電源はACの影響を避けるためジャンクのACアダプターを外付けで使い、ケース内は平滑コンと3端子レギュレーターだけを入れました。同時に働くリレーは1〜2個ですのでアダプターは小さな物で充分です。
回路そのものは95X75mmの万能基板に納めました。8個のリレーは基板の裏側に置きます。抵抗は手元にあった1Wの酸金を使いましたが、どんなものでもお好みの物が使えます。
音は、長岡教祖様はスナップスイッチ式について「目の覚めるような鮮烈な高音と、大地をも揺るがす超低音」と書いておられますが(笑)、少なくともプリ(DENON-PRA2000、YAMAHA-C2a)のボリュームであった、何となくつきまとうような感じの得体の知れない暗騒音が無くなり、無色透明でソースの音がダイレクトに出て来るのが感じ取れるようになりました。
ミニチュアリレーの使用については、接触面積が充分取れるかという心配が有りましたが杞憂に終わりました。リレーの構造を見てみると移動側はバネの働きを持っており、マグネットの力で固定側に接触する時に表面をこすりながら接触します。このような動きはロータリースイッチやスナップスイッチには見られません。使うほど接触状態が良くなるのではないかと考えられます。
電磁リレーについてはコイルの発する電磁波を問題にする人もありますが、接点の問題は遙かに大きく、矮小な議論を吹き飛ばしてしまいます。
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