「スワン」にはまった!

 スワンの秘密
  6、7年前スワン、スワンと世間があまりに騒ぎ立てるので、どんなものかと造ってみた。雑誌の製作記事には「2人で1日あれば自作可能」とあったので、まあ週末に作ってしまえるだろうととりかかった。しかし、これがどえらい難工事で丸5日も費やしてしまった。好く読むと製作記事はカットした板材がスタートしていたのである。こっちは丸ノコ一丁で補助要員無しで板取りから始める。どうしても1ミリ内外の誤差は出てしまう。それであの幾重にも折り畳んだ音道を組み立てていくと、誤差が積み重なって隙間が出てしまう。何カ所もカンナで修正し、組み立て直していかねばならない。5日目は精魂尽き果てて試聴する気力さえなかった。
  確かに音像定位は素晴らしい。キチンと録音されたソースでは音場が上下奥行きに広がる。低域もオーケストラを聴くにはなんの不足もない。ただし、以前FE168の普通のバ゜ックロードで経験し、予想はしていたが、フォステクスコーンの紙臭ささ、安っぽいさは変わらなかった。紙で作っているのだからしかたないと言えばそれまでであるが、同じ紙コーンでもP610とは雲泥の差がある。という訳で素晴らしい特徴は備えているものの、メインのスピーカーとして使うには至らなかった。
  真空管アンプを自作して聴くようになると、「本来」のマルチシステムの一部に組み入れるよりは、全域を使いたい。1000Mは実は真空管アンプとの相性が素晴らしいのだが、如何せん30年近く経っている大年増である。ウーファーはエッジが薄くなってf0が下がり、ベリリウムドームは持ち主同様、覇気を失い枯れ気味である。そろそろ代わりを見つけたいが、スピーカー試聴の行脚に出かけるだけの元気がない。ノーチララス801や800Sは良さそうだが、今更ラッパにン百万も掛けるには「老後」が近づきすぎている。無能政治屋共のお陰で、いつ何時年金制度が崩壊し、あるいは国の借金返済のためと称して未曾有のインフレが起こっても不思議ではないのだ。

  閑話休題。スワンをよく見ていただきたい。首の周りが少し不格好になっている。このスワンは首(正確には頭)が回転するようになっている。「大外」にあっても耳がスピーカーのセンターに来るように調整するためである。

  普通は四角に空けるスワンのヘッドの底面を円にしてある。この円の径は本体側の「受け」と同じ。ヘッドの丸穴には直径方向に板を叩き込んであり、ヘッドは「受け」の内周に沿って回る。上下の振動を防ぐためにヘッドの両脇にL型金具を付けた。Lの短辺を少し内側に曲げてあるので、取り付けネジを絞めれば固定することが出来る。
  実は今回はこれのお陰でン百万もの買い物に頭を悩ませずに済んだ。気軽に首を外してユニットの取り付け穴を拡大し、最も新しい「限定発売」品に交換してみたのが大当たりだった。
  左がこれまでの6N-FE103、右が6N−FE103ESU。フランジ、マグネット、コーン紙、エッジ、ダンパー、マグネット総て変わっている。f0も80Hzから75Hzに低下している。「顔」も違う。コーンに剛性を上げるためのリブが入っているし、サブコーンも先が三角形になっている。音が好ければどうでも好いことだが醜い「顔」になった。重量にして3倍。価格は1本¥17000だから4倍以上。世界で最も高価な10センチフルレンジではなかろうか。以前のスワンは音色だけが気に入らなかっただけなので、コーン紙の材料が変わってくれるだけで良かった。如何せん「限定発売」商法で過去のグレードは入手不可能という仕組みなのだ。
  スワンは「スーパースワン」ではなくて「スワンa」の方を製作していた。Q0が0.28のFE108Σ用で、スロート開口面積は39平方センチ。そこへQ0が0.35のFE103を付けると100〜200Hzが盛り上がり低域の量感がよく出る。これはhttp://village.infoweb.ne.jp/~fwgi5816/SP/backload.htm
で特性シミュレーションをかけて見ると一目瞭然。一方6N−FE103ESUはマグネットが強大になり、Q0は「スーパースワン」用のFE108スーパーより更に低くが0.23になっている。長岡凶徒の諸HPを覗いて見ると、6N−FE103ESUはスロート開口面積は41平方センチの「スーパースワン」に取り付けた場合でもホーンロード負荷が不足としている。実際、長岡式で計算するとスロート開口面積は更に大きく43平方センチになる。スロート開口面積を拡げるにはスワンの頭だけでなく首ごとすげ替えなくてはならない。万全を期すには音道全体を5%大きくした「105%スワン」を新たにこしらえる必要がある。

  「105%スワン」製作記はまだ「発見」していない。昨今のオーディオマニアの軟弱さが窺える。カットした板材を接着剤で張り付けて「自作」と称するのなら、「部品をスロットに刺すだけのパソコンは自作ではない」などと偉そうな事は言えない。目糞鼻糞の世界だ。
  でどうするかと思えば、ヘッドの内容積を増やすと重低音が出てくるとある。しかし、内容積を増やす事はホーンのクロスオーバー周波数を下げてホーンロードを下げる方向である。先のHPで特性をシミュレートして見ると50Hz辺りがフラットにはなるが、「量感」を決める100〜200Hzが僅かではあるがレベルが下がる。では、「スワンa」に6N−FE103ESUを付けるとどうなるか。シミュレートの結果は「スーパースワン」の特性と殆ど変わらないと出た。コイズミ無線に電話すると前回の「限定発売」分が1セット残っているとの事。即決。

  最初の音出しで、中域の音色は紙臭さが激減し将に「ナチュラル」な音で鳴ってくれた。しかし低域は元気がない。これまで2〜3dB盛り上がっていた100〜200Hzがフラットになったからだろうが、躍動感の無いスピーカーは辛い。作りたてのスピーカーは「エージング」不足である。しかし接着剤は充分乾燥した箱で、ユニットだけのエージングでどれほどの変化が期待できるのか。これまで経験の無いことである。
  しかし、2日、3日と鳴らしこむうちに低域が伸びてきた。能率も上がって来ている。エージングが進んでいくのを楽しみながら毎日鳴らしている。さすがに声楽の深味はP610に及ばないものの、クラシックの弦に艶やかさがあり、ジャズのドラムやベースの重量感も表現できる。万能型だ。欲を言えばジャズのハイハットはもっとシャンシャン鳴って欲しいが、そうなると逆に弦がきつくなってしまうだろう。フォステクスもここに来てやっと「作るスピーカー」から「聴くスピーカー」へ脱皮したようだ。

 常用の「出力系」

  入力系は変りませんが、常用の出力系は非常にシンプルです。パラシングル・ユニバーサルアンプ
「BIG−ONE MarkU」
詳細)に刺さっているの最近ヤフオクで入手した送信管4D32。なにせプレート損失が50Wもあるので少々の事ではへこたれない。故宍戸先生が「送信管によるシングルアンプ集」で巨大ドングリと呼んだ球です。製作例では5結で20Wとありますが、5結では音が荒く3結にして出力12Wで使っています。スワンは1000Mの後方にあり、首だけをのぞかせています。

 砂利の効能  2002/1/29 updated
  スワンの胴体部にはデッドスペースが有り、スーパスワンではここへ「THメタル」の砂粒状鉛を入れるよう指定されている。教祖様自身が「これを入れて初めて本来の音になる」と書いている。しかし、スワンは「箱が鳴かない」が無いのが売りではなかったか。鳴っても「頭部」だけで胴体は鳴らないと、これも教祖様自身の言葉である。矛盾しているではないか。鳴かないのなら、鳴きを押さえる「重し」は必要ない。というわけでこれまでのスワンには「重し」は使用していなかった。
  しかし、常用するとなると理屈より音が優先する。早速、砂粒状鉛なるものを調べてみた。なんと5キロ単位で¥3000。最低20キロは入るとのこと。税・送料を入れるともう一つFE108ESUが買えるくらいの値段になる。自分にとって有意な効果があるかどうか判らない実験としてはちとリスクが大きい。要らなくなった時の後始末も困る。で、思いついたのが砂利である。効果が無ければ庭に撒けばいい。ホームセンターで買ったのがビニ−ル袋入り15キロで、たった¥980。「2分」とあるのは2/10寸、つまり約6ミリの粒径のもという事だろう。当初は袋から出して「デッドスペース」へ入れるつもりであったが、鉛にくらべて比重が小さいから重量増加効果はしれている。そこで思い切って?2袋買い、袋ごと胴体の上へ置いた。中の空気を押し出してやると、丁度手前の1000Mに隠れて砂利袋は見えなくなった。
  その効果や如何に?!。
  「一聴瞭然」、「効能書き」にある通り、低域の重量感、音の分解能、音の透明感、すべてが向上した。その程度の度合いは、これから「砂利袋」を置いたり外したりしてみない事には言えないが、とにかく効果のあることは間違いない。「重量効果」もこちらのほうが砂粒状鉛の1.5倍ある。コストパフォーマンス大であるので当分このまま使うことにする。  

  ソフトのほうもハマっています

情事の終わり[TKCV35153]

ス・ワンダフル[TKCV35115]

フレンチ・バラッズ[TKCV35151]

夜のブルース[TKCV35154]

スウィミング・アバウト・イン・ジャズ[YPM008]
  最近よく聴くソフトです。上から
情事の終わり/ワン・フォー・オール
ス・ワンダフル/ビル・チャーラップ・トリオ
デジャ・ヴュ/アーチー・シェップ・カルテット
ブルース・イン・ザ・ナイト/ニューヨーク・トリオ
(実体はビル・チャーラップ・トリオ)
スウィミング・アバウト・イン・ジャズ/お洒落なジャズトリオ

  上の4枚はいずれもヴィーナス・レコードという日本のマイナー・レーベルですが、演奏、録音、ジャケットの3拍子揃っています。ス・ワンダフルの1998年以外は2001年の最新録音です。それでいてオーソドックスな4ビートで、かつ昔の誰かサンのコピーで無いオリジナル性を持っています。音の採り方はオンマイクで、シャキッとしたシンバルの金属音、太くて重いベーズやドラムの音が目の前に並びます。ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音スタイルに似ていてますが、最新録音でより細かい音までよく捕らえられていて、繊細さと豪快さの両方兼ね備えた音造りになっています。それにジャケットの良さ。2枚目の水上スキーなんかノスタルジックな雰囲気がよく演出されているではありませんか。高校の頃、誰かが洋書古書店で買ってきたプレイボーイを、机の下で回し読みして憧れたあの大人の世界。
  最後の「お洒落なジャズトリオ」もワイピーエムレーベルという日本のマイナーレーベルですが、ヴィーナスと正反対のソフトで透明な傾向の録音です。ピアノ、ギター、ベースという変則的なトリオです。ヴィーナスのガンガン鳴るCDで気分爽快になった後で、口直しに一服という訳です。

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