夏用真空管アンプ〜ミニワッター7119シングル

2012/10/19
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「計画編」

1619パラシングルを机の下へ入れておくと、「弱」の炬燵並みに暖かくなってくる。 それで、これまで夏場はラックスキットの石アンプを使ってきた。 夏場も何とか真空管で聴きたい。 ぺるけさん のHPにある「ミニワッター・プロジェクト」 がおもしろい。
真空管アンプをディスクトップて゜使うなら0.1wattでも充分だ。 これまで実行する人がいなかったのは、安物の小さいOPTでは充分なクォリティが得られないという、先入観があったからだと思う。 ところが、ミニチュアサイズのOPTやPTでも結構良い音がするという。
シングルにするかプッシュプルにするか。 シングルよりプッシュの方がOPTの質的影響を受けにくい。全段差動直結にれば更に受けにくい。 ただ真空管は4本になり、熱は倍になる。差動にすればより発熱は大きくなる。 MT管と雖も、7119なら1本当たり10Watt、5687を使えば更にヒーターの発熱が1.5倍になり,管壁が触れない程熱くなる。
シングルアンプの<アンプ部基本回路>を見るとロフチン・ホワイトになっている。50CA10を使った作例もあり、一度は作ってみたいと思っていた。
もう一つ興味深い点がある。アースだ。

真空管アンプでは入力の近くでシャーシアースを取る。私はL,Rの入力端子の中間に落としている。こうすると電源のアースにはLかRの片チャンネルしかアースを繋げられない。繋ぐとアースがループしてハムの原因になる。
「プラス電源ラインとアースは一体として考える」べきなのだが、最も電流が流れる出力球−電源でこれが崩れてしまう。
解決策はモノラルアンプにすること。


製作記をよく読むと、こんなアースラインになっている。これならステレオシャーシでも「電子の流れ道」が確保される。



原回路からの変更点は、発振止め抵抗R2,R6を3.3k→2kに減らしたのと、NFBのコンデンサーC2 1500p→1000p、前段のカソードパスコンC1 を470μ→10000μに変えた事、又ボリュームは省いた。電源部も手持ちの抵抗に合わせてR9,R10をそれぞれ22k,470kに変更した。
電源のリップルフィルターには手持ちの2SK2545を使う。
OPTは春日無線のKA-5730、PTは同じくKmB90Fで、ネットから発注すると翌日には届いた。


「製作編」

久しぶりに日本橋に行くと、シリコンハウスもパーツランドも場所が変わって大きくなっていた。 トランス以外で必要なのはシャーシに、ヒューズホルダーとゴム足と電源プラグだけ。後は手持ちのパーツで行ける。シャーシはバーツランドにLEADのS-6(230x60x160)が¥740で有った。


包装紙の上から加工線を描いていく。ほぼA5サイズなので小さい。
ここで勘違いから失敗をしてしまった。



PTの向きを間違えた。
経験上このレイアウトで問題ない事は判っているが、なんせシャーシが小さい。絶対距離が不足してPTの電磁波の影響が出る可能性が無いとは言えないので、トランスの向きを訂正する。



トランスを一列に配置するオリジナルのレイアウトは変更した。
手前が電源ゾーンで奥が信号処理になっている。入出力端子を使用環境に合わせてシャーシ上面に並べた。



製作は1日であっけなく完了。

ハラワタ。
一見スカスカだけれど、小さいかので真空管アンプとしては普通か、部分的には少しパーツが混んでいるレベル。

ぺるけさんの設計は、誰が作っても同じ性能が出るようになっている。組み上げるだけで調整は全く必要ない。一応テスターで当たったが、出力段のプレート電圧255V、カソード55Vと設計通りの値が出ている。2段増幅なので反転の必要も無い。



PCM2906USB-DACと繋ぐと、トータルのゲインが不足するので、ボリュームは3時の位置ぐらいまであがる。 音は1619パラシングルと比較すると厳しいが、芯のある音で、かつ拡がっていく音は柔らかい。小さくても真空管の音になっている。
発熱は期待通り少ない。リップルフィルターのk2545をシャーシに取り付けているが、ほんのり暖かい程度。OPTは冷たい。PTは45℃ぐらいになっている。主巻線はAC80mAからDC40mA、ヒーターは14.5V-0.9Aから12.6V-0.32Ax2取っているから、7,8分目の使用率だ。私が設計するとOP、OPT共に定格ギリギリまで使ってしまうから、特にEIコアのPTなぞはチンチンに熱くなってしまう。
それにしてもこのPTは良く出来ている。小さいけれど持つとズシリと重いし、単品写真だけだとサイズの見当がつかない程、ちゃんとミニチュアになっている。




「評価編」
以前、富嶽で5687パラppを鳴らした事がある。あっさりした音という印象が残っているが、それと似たような暴れの少ない優等生的な音で鳴っている。3極電圧増幅管は概ね似たような音になるのかも知れない。低域はもう少し絞りたいが、これ以上NFは上げられない。

[グルダ / モンペリエ・リサイタル Accord]

5687に差し替えて見る。7119よりも締まった音になるが軽い。意外だった。 7119に戻してみる。5687に比べるとピアノの低域が膨らみ、音がもったりしている。


[ショパンピアノ作品集(ヴァイオリンとピアノのための編曲) Mdg]

弦ではどうか。
7119だと伸びやかな音を楽しめるが、5687だと硬すぎる。 普通はこうなる。弦、ピアノ両方ともいける1619が希少種だった。


[ケンプ・シューベルトビアノソナタ全集 DG]

少し古いステレオ録音で、帯域は狭めだが素朴でコロコロした音で、パックハウスと人気を二分していた理由がよく分かる。同じシューベルトでも豪快なリヒテルとは全然違う。 このピアノの音をキチンと再生したのは7119の方だった。

もう一度5687で聴き直してみると、5687でも「もったり感」はある。するとこれはOPTの音なのだろうか。弦ではこれがあるから聴き易くなっているのだけれど。


球が決まったら、自分向きのリファインを考えてみる。
ちょっと線が細いのはしょうがないにしても、もう少しソースの違いが聴きわけられるようにならないか。例えば、ジャズピアノは録音も含めたトータルプロデュースだから、クラシックよりプレイヤーによる音の差が大きいのだが、今はケニードリューが大西順子と同じゴツイ音で鳴っている。


C3の信号バイパスコンデンサーにパスコンをパラってみる。

「もったり感」がスプラーグや東一のVitaminQ(0.47μ/600V)で変わるか。コンデンサーを付けたり外したりして聴き比べる。こういう時裏蓋のない小型シャーシは楽だ。
滑らかさが幾分増すが、「気のせい」レベルで声を大にして言うような違いでは無い。
やはり真空管メインでは、パーツの音質への影響は小さいのか。


カソードを定電流化してみる。

昔、差動アンプをやっていた時に、シングルでもカソードを定電流化して音質が改善された事がある。  カソード抵抗が充分大きいので、既にその効果の一部は「食っている」事になるけれども。

バラックで急遽組んで、3.3kΩのカソード抵抗と入れ替えてみると、「もったり感」が無くなり音が繊細になった。 こうでなくっちゃ真空管アンプを使う値打ちがない。 矢張り手間を惜しんではいけない。


定電流回路が温度的に安定するまで、音質が変化するという問題はあるけれど、暫くはこのままで聴いてみようと思う。 夏用アンプなのだから、更なるチューニングはそれまでに施せばいい。

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