1619パラシングル


last update 2004/6/20
1619という球


  「急速動作用直熱ビーム管」1619は、一連のメタル管開発に共って作られたものです。
 RCAのデータによれば
Filament Voltage2.5 volts
Filament Current2.0 amp.
Single−Tube Amplifier ClassA1
Plate Voltage400 max.volts
Screen Voltage300 max.volts
Plate Dissipation15 max.watts
Tipical Operation(fixed bias)
Plate Voltage300 volts
Screen Voltage250 volts
Grid Voltage-10 volts
Zero−Sig. Plate Current44 ma.
Max.−Sig. Plate Current46 ma.
Zero−Sig. Screen Current4 ma.
Max.−Sig. Screen Current6 ma.
Load Resistance8800 ohms
Max.−Sig. Power Output3 approx.watts
  となっており、2A3程度の球だと思われます。シングルの出力も3watt程度です。プッシュにすると20voltのバイアスで17.5Watt取れ2A3より使い易い球です。価格も1本千円程度でお手軽です。

  「富嶽」で鳴らすと直熱管らしくすっきりとした高域は魅力があります。しかし低域がやや薄くなり折角の高域の輝きが生きてこない事が判りました。一方「富嶽mini」でパラシングルで鳴らしてみると、出力は小さいのに地を這うような低音が出てきます。しかしながら、扇風機でフィラメント電源の放熱フィンを冷却し続けないと熱暴走します。無負荷で直流10Vある巻線から7.5V*2Aの15Wが2球分で30Wもの発熱があるのですから無理もありません。これは、専用アンプを作ってみるしか無いと思いました。勿論フィラメントはAC点火にします。

 テーブルで注目したのはシングルの使用例でプレート電圧を最大定格まで使っていないことです。プレート損失から電流値が制限されるモノと思われます。1球ではダメでも2球をパラに使ってやればプレート損失30watt、最大プレート電圧400Vの球として使うことがでます。また、パラシングルにすると球から見たOPTの負荷抵抗が2倍になりますから、5KΩのトランスでほぼ適合します。


回路



  双三極管7044を1本、初段、ドライバー段として使っています。固定バイアスとして使った場合の1619のグリッド抵抗は50KΩ以下と決められています。7044は5687と同様内部抵抗が低く小さい負荷抵抗でも強力にドライブします。
 1619専用アンプなので、シンプルな回路にしようと思ったのですが、結局スクリーン電源用にはFETの定電圧回路を用意し、1619の2つのカソードは定電流回路に引き込みました。カソードバイパスには電圧増幅回路も含めて1000μ以上のコンデンサーを入れ、低域の充実を図っています。

製作






シャーシはリードのアルミ箱P-11を使いました。180mmx300mmx70mm で、日本橋のニノミヤに在庫が有りました。@2100で、銀色の焼き付け塗装済み。厚さ1.2ミリでサクサク加工が出来ます。

  OPTは手持ちのソフトンRW20を使っています。シャーシ底板に電源トランスと直角の向きに取り付けます。

 電源トランスはフェニックスのRコアトランスを特注しました。コアは150VA。300V-320mAの主巻線、160V-30mAのバイアス用巻線に2.5Vタップのある6V-4Aのヒーター巻線が3本という構成です。シャーシ上に10mmのスペーサーで嵩上げして取り付けます。配線はトランスの下に30mmφの穴を開けてシャーシ内へ取り込みます。

  シャーシの両サイドに50φの穴を開けてパンチングメタルでふさいでいます。シャーシ内の放熱用です。


評価

3結時
出力 6.45W
NFB 6dB
DF 9
BIAS -24V

5結時
出力 12.5W
NFB 22dB
DF 13
BIAS -14V


  どちらもプレート電流は35mA/球です。基本的に同じトーンキャラクターです。通常のシングルでは5結で3Wだったものが3結でその2倍、5結では4倍の12Wも取り出せてパラシングル大成功です。特に3結時のダンピンクファクターの大きさには驚かされます。

  全体に引き締まった音です。さすがに直熱管だけあって高域の美しさは見事です。5/9の「動物園試聴会」で「課題曲」となったチョン・フン・ミンのシェラザードとブライアン・ボンバーグのウッドを聴いてみました。ドラムはシャン・シャン、ベースはブンブン響きます。一方シェラザートの嫋々たるバイオリン独奏も艶やかに再生してくれます。硬軟両方とも楽しめる球はなかなかありません。1619はアタリの球です。

 高域は素直に減衰しています。低域は小型OPTとあって20Hzの再生限界は0.25Wで、40Hzでも2Wです。しかし、聴感上はもっと延びているように聞こえます。


変更

  電圧増幅段を7044から12AU7に変更しました。ゲインが高すぎるのと電流量が多すぎるためです。これまでの経験からすると、電圧増幅段の電流量が1〜4mAの場合は柔らかく細いくなり、5〜10mAでは太く、重くなります。7044で電流量を少なくするのは難しかったので、球そのものを変更しました。
 12AU7は6922とのコンビで使ったことがありますが、これ一本というのは初めです。音の凄味は無くなりましたが、細くなることなく、常用のアンプとして丁度よい音になったと思います。ゲインが減ったため5結時のNFB 11dB、DF 3になりました。
  
カソフォロ

  出力段のバイアスが高々18V程度なのに、2段増幅で充分すぎる電圧増幅段となっています。これまでのユニバーサルアンプのようにカソフォロ段を入れてA2増幅による出力増を狙ってみました。真空管を立てる場所がないので2SK2545を使い、初めて半導体によるカソフォロになりました。
  カソード電流が少なかったせいかA2動作にはなりませんでした。また、これも場所の都合でカソード定電流回路を取り外しましたが、あったときよりも音がダイナミックになりました。
  カソフォロによる音の変化に関する記述は見たことがありません。私自身殆どのアンプにカソフォロやトランスを入れて出力段の入力は「直結」にしてきましたので、あまり「カソフォロの音」というのは意識したことがありません。音色の「変化量」はカソード定電流よりむしろ大きいように思います。カソフォロになにか決まった音の変化の方向ってあるのでしょうか。

   DFの値としては3で充分かと思われたのですが、低域がブンつくように聞こえるので、NFB抵抗を調整し5K→3Kにしました。この結果NFB 16.5dB、DF 6でジャズ、クラシック両刀使いの手頃なアンプになりました。



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