真空管プリアンプ

2003/9/30
2003/10/5 revised
2003/10/20revised



ヤフオク
  で、タンノイのバークレーを落としました。昔々、スピーカーを何にするかで悩んでいた時にタンノイも候補に挙がっていました。TEACが代理店になる前の時分の話で、オートグラフやランカスターは「見た事ある、聴いたことある」が、とても買える代物ではありません。ブックシェルフのVLZが無理すればなんとかという値段です。それも国産箱入り。じっくり試聴してみると、ホーンから出てくる音とコーンからでてくる音がはっきり分かれて聞こえ、エージングに何年もかかりそうな様子でした。ボツ。

  こんなわけでタンノイとはずっと縁が無かったのですが、今でも人気のあるスピーカーであり、オーディオファンとして一度は手元に置いてみたいと思っていました。すでに「スピーカー密度」が高い我が城ですが、やりくり算段すると、アーデンのような200Lクラスは無理ですが、100Lのバークレーなら何とかなりそうでした。「ぺるけさん」のご紹介で一度は手に入りかけたのですが、ジャンケンに敗れてゴワサン。でも「すてる神あれば、拾う神あり」でヤフオクで程度の良いアルニコのバークレーが適価で落札できました。横になった1000Mの下敷きになっています。

 ン十年ぶりのタンノイでしたが、音は基本的には変わっていません。38センチユニットを100Lの箱に押し込めているにもかかわらず、ふっくらとボリュームのある中低域に、ホーンからの高域が載っています。タンノイは1974年に工場が火事で焼けてコーンの加工がきなくなりました。それでマグネットはそのままにコーンの生産をドイツのクルトミュラーに委託して出来たのが、搭載されているHPD385というユニットです。その後アフリカの政情不安定でニッケルやコバルトの価格が急騰し、JBL等のスピーカーメーカーがフェライトマグネットを使うようになりました。タンノイも1947年以来綿々として続けられてきたアルニコマグッネットの使用を1979年でうち切りました。そんな訳でHPDシリーズは1974年〜1979年の僅か5年しか生産されていません。尤も、コーン以外はそれ以前のゴールド・モニター・シリーズと同じですから、ゴールド・モニター補修用に残されているコーンを入手して張り替えればゴールド・モニター15と同じユニットになります。そんなことをするマニアが横行しているようです。しかし、生産をうち切り、本来のゴールド・モニター用に残してある限られた数のパーツを自分勝手に流用するのはいかがなものかと思います。

  話が横道に逸れましたが、このバークレーの音を聴いているとLPで使うのが最もふさわしいように思えます。それで、このスピーカーでLPを聴くのに相応しいプリアンプを用意することにしました。


タンノイを聴くプリアンプ

  として、これまでの真空管プリアンプを改装しました。

1.基本はこれまで通り、Non−NFのCR減衰型イコライザーにする。
2.RIAA部のインピータ゜ンスを大幅に下げて高域のノイズを減らす。
  RIAA CR型イコライザー・シミュレーターの助けを借りてCとRの値を計算し直し、ターンオーバー部の定数を400Kと20Kから、24Kと2.3Kへ大幅に下げました。この結果シャーノイズをイコライザー出力ではスピーカーに耳を当てないと聞き取り難いレベルまで下げることが出来ました。
3.MC用にフラット・アンプを付ける
  イコライザーだけでは、メインに使っているサテン(公称2〜3mVだが実力は1mV程度)でもほぼフルボリュームになります。ゲインが高くて初段のカソードパスコンを省いた「富嶽2」でこれですから、チャンネルデバイダーが入ってゲインが下がるマルチアンプシステムではやや不足します。 6922SRPP2段のイコライザー部に12AU7SRPP1段のフラットアンプをつけました。それでもゲインが大きすぎるのでカソードパスコンを外して8.5倍の増幅度にしました。
  このフラットアンプはMM使用時にはスイッチで切り離せるようにしました。
4.音質調整
  もともとタンノイの中低域は膨らんでいるので、カソードパスコンはOSコンだけにして試聴しました。ところがあっさりしすぎて音が痩せて無機的な響きになってしいまいます。6800〜10000μのケミコンをパラにするとフックラしてきました。 


更なる改修

  フラットアンプを入れると、以前ほどではありませんがシャーノイズが出てきます。これはボリュームを絞ると減りますが、消えてしまうことはありません。フラットアンプのノイズだけではなくて、イコライザー部のノイズが拡大されて出てきています。替わりにタムラの入力トランスを入れると音が硬くなるし、2SK30のヘッドアンプだと音が平板になってしまいます。なんとか真空管だけで処理できないものか。

  初段6922、2段目6922、3段目12AU7のノイズ出方を考えてみます。
    初段−◎イコライザー素子により大幅減(20kHzは20Hzに対して39dB減衰)。S/N比改善。
    2段目−○ボリュームにより、ノイズの絶対量減衰。S/N比変わらず。
    3段目−×ノイズの絶対量一定。ボリュームを絞るほどS/N悪化。
  ということになります。◎を増やす方法はないか。イコライザー部を後ろ持ってくればそれ以前の段のノイズに対しては◎になります。即ち2段増幅の後にイコライザーに入れます。更にボリュームを最後尾、3段目の出にもっていけばフラットアンプ部も○になります。
  フラットアンプを飛ばす場合は、イコライザーの後ろに100KΩのボリュームが入ります。このためイコライザーの回路条件が若干変わってきます。先程のシミュレーターで言えば「b」になります。イコライザーでのロスが増えて-26dBになり、素子の定数も少し変わってます。このシュミレーターはこのような変化も正確にシミュレートしてくれるので、実験でカットトアンドトライをしなくて済みます。ロスをカバーするため初段もμ回路にしてゲインを搾り取り、イコライザーの出で2dBのロスに押さえました。この2段増幅だけにするとスピーカーに耳をつけてもシャーノイズが聞こえません。MMは勿論、サテンもタンノイで聴く限りは2段増幅だけてなんとか済ますことができます。
  1mA以下のMCではフラットアンプを使うことになりますが、以前と違ってボリュームを少し絞ればノイズは聞き取れなくなります。それ以上は出てくるノイズと相談ということになります。
  トグルスイッチに2連の物を使い、もう片方で12AU7のグリッド抵抗に100kΩの抵抗をパラに付け外し出来るようにしています。この抵抗がないと、12AU7がイコライザーの後ろに入った場合100kΩの抵抗の替わりに1Mの抵抗が入って、RIAAカーブからの誤差が大きくなります。この出し入れによって、どちらの場合でもイコライザーの後ろが100k と1Mのパラになるようしています。
  フラットアンプを飛ばした場合には、メインアンプの入力インピーダンスがイコライザーの定数に影響を及ぼします。ボリュームの100kΩとパラになっても大きくずれないことが前提となります。バッファーを入れれば問題ないのですが、コンデンサーがまた入ると面倒なのでやっていません。

  初段を12AX7にすれば、ゲインのアップによって更にS/Nが良くなるはずですが、ゲインと一緒にノイズもやってきて、2段増幅の時でもフルボリュームではノイズが聞こえるようになりました。この辺りが真空管だけでイコライズする場合の限界のようです。

  追記2003/10/20
 LPをかけている時にバークレのコーンがフラフラと動きます。1000Mは密閉型なので問題有りませんでしたが、バスレフになるとサブソニックフィルターが必要になります。初段と2段目のカップリングコンデンサーを0.047μに変更しました。グリッドリークの100kΩと一緒になって12dB-33Hzのサブソニックフィルターを形成します。それに伴って12AU7カソードのカップリングコンは、大きな値にしても無意味ですから1μ/400Vに下げました。また、ボリュームを挙げたときに若干60Hzのハムが入りましたので、12AU7にもカソードパスコンを入れました。これによりトータルのゲインは少し上がります。

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