特集 「クラシックは死なない!」 第1章 この演奏は聴け
                               2004.9.18 update

アリアCDの店主・松本 大輔氏のCDガイドブック「クラシックは死なない!」(青弓社)に登場する「銘盤」を実際に購入して、ホントに書いてあるような名演奏なのかということを、購入できたものについて自分なりに検証してみました。

以下内容をかいつまんで。
第1章 この演奏は聴け!(涙と慟哭;発狂/壮絶演奏;すごすぎる正統 ほか)
第2章 この人だけは語りたい(いまは亡き演奏家;まさに現役;おそるべし女流 ほか)
第3章 衝撃的アルバム群(聴かずに死ねないぶっ飛び演奏;いまの世もまだまだぶっ飛び演奏;意外な1枚 ほか)
クラシックCD低迷という神話を笑い飛ばす、聴かずには死ねないアルバムの数々。悶絶するような輸入CDを通信販売する著者が自信をもって推薦する新名盤のなかから欲望が欲望を喚起する自分好みのアルバムを見つける、というぜいたくな快楽に満ちたガイド。

第1章 この演奏は聴け!
1 涙と慟哭
トスカニーニ/衝撃のラスト・コンサート シノーポリ/ドレスデン大空襲祈念コンサート パガニーニ直系の唯一の弟子 天界への扉 クーベリック/マーラー『交響曲第9番』 ジュリーニ/ブラームス『交響曲全集』 朝比奈隆、第1回ヨーロッパ・ツアーでの『英雄』 2002年最高のアルバム マリ/管弦楽小品集 ついに復活! ケーゲル/『アルルの女』 悲痛 ガブリーロフ/ショパン・コンサート エコノムは死んでいた/ニコラス・エコノムの芸術 フェルツマン/復活のショパン『ノクターン』

2 発狂/壮絶演奏
オーケストラを血祭り トスカニーニ/1941年の『第9』 音は最悪、演奏は異常 クレンペラー/1934年の『運命』 決定的演奏 シューリヒト/『復活』&『英雄』 クナッパーツブッシュ、既成概念破壊の5アイテム 2002年最大の話題作 スヴェトラーノフ/『ローマ三部作』 お便りいたします 宇野功芳/『運命』 残酷!終楽章 エッシェンバッハ/マーラー『交響曲第9番』

3 すごすぎる正統
1 いまは亡き演奏家
カレル・アンチェル コンラート・ハンゼン ジュリアス・カッチェン ディノ・チアーニ
2 まさに現役
レイフ・セーゲルスタム エンリコ・ガッティ
3 おそるべし女流
スザンヌ・ラウテンバッハー エリソ・ボルクヴァゼ 藤原由紀乃 マリア・クリスティーナ・キール 向山朋子
4 知っててこの人たち
宇宿允人 カルロス・パイタ マキシミアンノ・コブラ ドイツ・ザクセン=アンハルト歌劇場

第3章 衝撃的アルバム群
1 聴かずに死ねないぶっ飛び演奏
ヨッフム/ブラームス『交響曲第1番』 ハイフェッツ/ベートーヴェン『ヴァイオリン協奏曲』 メンゲルベルク/ベートーヴェン『交響曲第9番』 ストコフスキー/チャイコフスキー『交響曲第4番』 シェルヘン/マーラー『交響曲第5番』 朝比奈隆/シューマン『交響曲第3番』 ギーゼキング/ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第17、21、23番』 イヴ・ナット/シューマン&ベートーヴェン・ライヴ
2 いまの世もまだまだぶっ飛び演奏
ビオンディ/2回目の『四季』 ゲルギエフ/ストラヴィンスキスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』 ヴァルガ/チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』 シフリン/モーツァルト『クラリネット協奏曲』『クラリネット五重奏曲』 ムーティ/ヴェルディ『アイーダ』 クーベリック/ベルリオーズ『幻想交響曲』 サヴァリッシュ/シューマン『交響曲全集』
5 ライヴCD-Rこっそり紹介
チェリビダッケ/リスボン・ライヴ クレメンス・クラウス/モーツァルト『交響曲第41番』 アーベントロート/ブラームス『交響曲第1番』 チェリビダッケ/ベルリン・フィル復帰コンサート マゼール/マーラー『交響曲チクルス』 スヴェトラーノフ/チャイコフスキー『交響曲第1番』 クルト・ザンデルリンク/シューベルト『交響曲第9番』 ペーター・フロール/チャイコフスキー『交響曲第6番』
  1 涙と慟哭

天界への扉

クーベリック
バイエルン放送交響楽団

マーラー交響曲第9番

AUDITE AU95471
1975年

 ただただ美しいカラヤン、音の絨毯に乗っているようなジュリーニに比べると厳しい演奏。たただ厳しいだけではない。著者によると「あっちの世界に連れて行かれそうになる」。本を読んだ時は「そんなアホな」思ったが、決して大げさな表現ではない。そう何度も取り出して聴く演奏ではないことは確かです。
 東京公演のライブですが、クーベリックの心の底にどんな闇があったのか、聴衆はどんな思いでこれを聴いたのか。

ジュリーニ
ウィーン・フィル

ブラームス交響曲全集

イタリアDG469435-2
1987〜91年

 国内盤のポリドール「名盤1200」から第1番(UCCG9447)と第4番(UCCG9448)で代用。 4番はライブ録音ですが、この交響曲がこんなにも大きなスケールで演奏されるのは初めての体験 です。
 既に引退してしまったジュリーニですが、他の演奏にも興味を覚えます。

ついに復活!

ケーゲル
ドレスデン・フィル

アルルの女

BERLIN CLASSICS 94772BC
1986〜87年

 こんなにも重いアルルの女やカルメンはちょっとありません。
 ケーゲルには他にもベート−ヴェン、ブラームス、ブルックナー、マーラーの交響曲やベルリオーズの「幻想」、カルミナブラーナ等のCDがあります。最近では日本での「運命」「田園」のライブが出ています。
 いずれもオケの隅々にまで指揮者の意思が徹底しており、緊張感の高さがひしひしと伝わってくる演奏です。



  2 発狂/壮絶演奏

決定的演奏

シューリヒト
ウィーン・フィル

ベート−ヴェン「英雄」

ORFEO 538001
1961年

 シューリヒト=淡泊というイメージがあり、買うのはこれが初めてです。このくらい燃えてくれれば文句ありません。

既成概念破壊の5アイテム

クナッパーツブッシュ
ベルリン・フィル

ブラームス交響曲第3番

IDIS 6362
1950年

 ジャケットは廃盤となったキングの国内盤です。
テンポ、強弱ともやりたい放題という言葉がぴったりする演奏です。

既成概念破壊の5アイテム

クナッパーツブッシュ
ベルリン・フィル

シューベルト交響曲第8番

LIVING STAGE LS1013
1950年

 「本」では次のシューマンの4番と一緒になっているLIVING STAGEのLS4035152(1956年の録音)を取り上げていますが、ザ・グレイトとカップリングになっているこちらを選びました。

 極端に遅いテンポ、、圧倒的な音量、ゴリゴリと押し迫ってくる低弦群。これはブルックナー校訂版の未完成か。スコアを無視した演奏です。でも、実演ならスタンディング・オーベーション間違いなし。
 9番のほうは拍手が鳴りやまぬ先に演奏が開始され、クナにしては速い(ごく普通の)テンポで進められます。まともなというかノリの悪い演奏でした。

既成概念破壊の5アイテム

クナッパーツブッシュ
ミュンヘン・フィル

シューマン交響曲第4番

LIVING STAGE LS1008
1962年

 「本」ではウィーン・フィルです。こちらは1962年6月1日のコンサートの全曲が収められています。

 シューマンは未完成と同傾向のノッている演奏です。カップリングのモーツァルトのクラリネット協奏曲を聴くと、絶対に合わないと思うモーツァルトの40番やアイネクライネも聴いてみたい気がしてきます。

既成概念破壊の5アイテム

クナッパーツブッシュ
ミュンヘン・フィル

ベートーヴェン交響曲第8番

AURA AUR165-2
1956年

 「本」ではERMITAGE ERM157となっていますが、カップリングも同じブラームスの2番で全く同じものです。これは以前「今月の逸品料理」で取り上げましたので、そちらをご覧下さい。


 「5アイテム」はこの他に「英雄」とブルックナーの8番がカップリングになったものが取り上げられています。

2002年最大の話題作

スヴェトラーノフ
ロシア国立交響楽団

レスピーギ「ローマ三部作」

SCRIBENDUM SC021
1980年

 強烈爆演
レスピーギってロシアの作曲家でしたっけ? 何で、こんなに厚かましく、ゴリゴリやれるの。著者曰く「脳髄絨毯爆撃演奏」



  3 すごすぎる正統

バーンスタイン・イン・ロシア

バーンスタイン
ニューヨーク・フィル

ベートーヴェン「エグモント」
ブラームス交響曲第1番
ラヴェル「ラ・ヴァルス」

JIMMY-CLASSICS OM 03-131
1959年

 凄い演奏とは、こういうのを言うのだろう。最初の一音から人を引きずり込んでしまう。後はオケも聴衆も指揮者のなすがままに身をまかせるしかしかたがない。ブラームスのコーダの入りであんな速いテンポのティンパニは後にも先にもこれだけだろう。
 惜しむらくはソビエトの技術の後れ。この時期でまだモノラルとは! ラ・ヴァルスでは余りの強打に音が割れてしまう。



  4 そんなのあったの

交響曲史上最も美しい

スヴェトラーノフ
ソヴィエト国立交響楽団

カリンニコフ交響曲第1番

CDK CDKM1008
1975年

 旋律が次々に繰り出されるというより、もっと短い音階の連続で曲が出てきているように思う。バッハのようなある意味無機的な音楽でもないし、懐古的な古典音楽でもない、不思議な心地にさせる曲です。残念ながら私の駄耳には「交響曲史上最も美しい」交響曲には聞こえませんでした。




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