伝説のピアニスト〜原 智恵子
[CD/DENON COCQ83614]
  「こんなピアニストが埋もれていたなんて、信じられない」というのが正直な感想です。

  13歳で渡仏、日本人としてはじめてパリ・コンセルヴァトワール(国立音楽院)を最優秀で卒業。1937年、日本人としてはじめて参加した第3回ショパン・コンクールで、その演奏は聴衆を大いに魅了したが、審査の結果は15位とされる。この結果に憤慨した聴衆により会場は警官隊が出動するほどの大騒ぎとなり、特例として原智恵子に「聴衆賞」を贈ることでようやく収まった。コルトー、ルービンシュタイン等の薫陶を受けながら輝かしいキャリアをスタートするが、1940年には緊迫する世界情勢のためやむなく帰国。活動を中断。1959年にチェロの巨匠ガスパール・カサドと結婚し、ヨーロッパを中心にデュオ・カサドとして、またソリストとして活動した。1966年カサドと死別の後は69年からフィレンツェで20年間「カサド国際チェロ・コンクール」を開催し、多くの若い音楽家を育てた。2001年老衰のため都内の病院にて逝去。

  CDの曲目は、ショパンのピアノ協奏曲第1番(渡辺暁雄の指揮で日本フィルが付けてます)。ドビュッシーの子供の領分。ショパンのスケルツォ第2番。ショパンのピアノ協奏曲は1962年のライブ録音ですが、スケールの大きなピアノ演奏にオケが引っ張られて、大コンチェルトの熱演に仕上がっています。カサドとの協演も含めて、埋もれている録音の発見が続くことを願ってやみません。

GET CARTER
[CD/CINEPHILE CMEDD017]
  昔々、民放FM局(FM大阪、東京)で「あいつ」という番組がありました。アンタッチャブルのネスの声優で有名な日下武の一人語りと音楽だけで構成される番組でした。「あいつ」は「ゴルゴ13」そっくりのクールでタフな男のイメージで語らます。そのテーマソングがこれでした。
  風の音に混じってシタールで一音一音テーマが演奏される。ジャランとグリッサンドが入ってイントロが突然終わると、エレキベースとコンガの強いビートに載って先程のテーマが繰り返し力強く奏でられていく。非常に印象に残る音楽でした。映画のサントラてあるということは判っていました。しかし後になって局に問い合わせても資料は残っていないという返事でした。
  ところがインターネットの時代は有りがたいもので、あちこちの掲示板に書き込んでいるとだんだんと断片的に情報が集まってきて、遂に見つけることができました。ボロボロのLPを覚悟していましたが、なんと新品のCDが出ていました。元の映画がカルト的な人気のあった(但し英国で)ようで、そのサントラとして復刻されていました。

  Amazon.comで「GET CARTER」で検索すると出てきます。この映画のオリジナルはマイケル・ケインが主役でしたが、シルベスター・スタローンで再映画化されていますので、お間違いなく。こちらは日本でも「追跡者」というタイトルで公開されています。ちなみに再映画化では、マイケル・ケインが脇役の悪党で出てくるという楽屋オチがついています。

  
ハイフェッツ/シベリウス ヴァイオリン協奏曲
[CD/BMG 82876663722]
 ハイフェッツのシベリウスを聴きました。 リビングステレオで何度も再発されたものですが、 今回はハイブリッドです。 そのCDの音を聴いてびっくり。これまでLPでも「美しいが冷たい音」 というのがハイフェッツの特徴で、テクニックはあるけど何であんなに 人気があったのか理解できませんでした。 これを聴いてその謎が解けました。 本当に美しい弦の音です!! 私の乏しい語彙ではこれしか表現できません。
 CDでこれならSACDならどれほどの音になるのか、 急にSCADに興味が湧いてきました。
 HMVにて1590円で入手しましたが、国内版も2100円で出ているようです





ミシェル・ペトルチアーニ・トリオ
[CD/UCCU5346]
  最近ユニバーサルから出た「ニュースタンダード50」 シリーズの一枚です。謳い文句にある通り80〜90年代のものばかりです。ここでミシェル・ペトルチアーニというピアニストを知りました。ロートレックのような異常に身長が低いというハンディキャップを負っていますが、演奏は全くそれを感じさせない非常に力強く透明なタッチです。
 50〜60年代のモダンジャズ黄金期以降、新しさを求めてフュージョン系やフリージャズへ走るミュージシャンも多いようですが、彼の音楽には正統なモダンジャズを引き継ぎつつ、新しさを感じさせるものがあります。録音も当然の事ながら優秀です。私にとってはチック・コリアやキース・ジャレット、クラスのジャズピアニストの「発見」でした。既に他界しているのが残念です。





ポリーニ/ショパン夜想曲全集(19曲)
[CD/00289 477 5718(Grammophon)]
 とうとうポリーニがショパンの夜想曲を録音してくれました。いままでこの曲の私的ベストはマリア・ピリスでした。ポリーニは、いつものことながら透明感のある澄んだ音です。しかし、ピリスと決定的に違うのは一音一音の音の出始め。鍵盤に触れるときの指使いからくるものでしょうが、師ミケランジェリ譲りの「切れ」が影をひそめ、ソフトで非常に繊細なタッチです。それでいて音の透明さを失わない。ピリスのは情熱的でポロネーズやマズルカと相通ずるものがある。それはそれで良いけれども、ポリーニは、ロマンチックな雰囲気がより濃く味わえ、ロマンティックな「ノクターン」の世界に酔いしれることが出来ます。
 こうなると、あと残っているのはベートーヴェンのピアノヒナタ全集だけ。ぽつりぽつりと録音していますが、残りは僅かのはず。ボックスでの発売が待たれます。  


ムター/モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲集(2枚組)
[CD/00289 474 2152(Grammophon)]
  今年のレコード・アカデーミーは、ポリーニのショパンの夜想曲もこれも落としてしまいました。なんでああ偏屈なんでしょうね。どうしてこんな素晴らしいを音を素直に認めようとしないのでしょうかね。ムターは「脂の乗りきった」という表現が、今いちばんピッタリのヴァイオリニストです。ただ美しいというだけでなく、妖艶です。エロティックというと誤解を生みそうですが、録音も素晴らしくて、古今のこの5曲(プラス、バシュメットとのK364も含めて)のベストCDです!!!

 更に上を望めば、指揮を夫君のプレヴィンがやっててくれるともっと起伏の大きなよりスケールの大きい演奏なったことでしょう。昨年、ウィーンで常任のオスロ・フィルとの演奏を聴きましたが、棒の振りはほとんど変わらないのにオケは実にダイナミックな演奏を展開します。もはやジャズも弾く器用な指揮者ではなく、「大指揮者」の域に到達しています。


ムター/チャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲
[CD/00289 474 5152(Grammophon)]

 2回続けて、ムターです。前回『更に上を望めば、指揮を夫君のプレヴィンがやって』と書きましたが、ここではそのプレヴィンがウィーン・フィルを振るという最高の組み合わせです。
 この超有名曲は、甘美で憂鬱なメロディと早くて激しいパッセージが交互に現れるという、ヴァイオリニストが思う存分その腕前を見せられる仕掛けになっています。さてムターの「腕」ですが、テクニックは申し分有りません。素晴らしいのは「音色」です。技巧をウリにするヴァイオリニストでは高い音で、音が「裏返る」とでも表現するのでしょうか、オーディオ的に言うと高調波成分の多い音に変わってくることがあるのですが、ムターの場合は全くありません。グングンと低い音から高い音へ伸びていくパッセージが同じ音色で演奏されています。またこの音色の何と甘美で豊満なことか。生理的快感の極み、極楽浄土です。
 カラヤン時代の演奏をお持ちの方にも、新しいムターとしてお薦めの逸品です。

Aglaia 弦楽四重奏団/モーツァルト・レクイエム
[CD/Stradivarius Echo STR11012]

 下手物趣味で買ってみました。Peter Lichtenthalという人が編曲したモツレクの弦楽四重奏版です。HMVでも全くコメントが付いていませんが掘り出し物でした。
 小生、幾つかの例外を除いては声楽、特に宗教音楽は好みではありません。言葉が分からない。意味は翻訳で分かっても、歌詞のその言葉にどういう意味があるのか、作詞の「意図」が分かりません。声を「音」に変換して、「純音楽」として鑑賞しているというのが本音です。ところがこの弦楽四重奏版では「変換」作業が不要なためか、モーツァルトのメロディ、ハーモーニーがストレートに入ってきます。モツレクって、こんな佳い音楽だったのか。言葉の壁が無くなってより普遍性が増したように思います。「空」にピアコンの20番が、同弦楽四重奏団「伴奏」で入っていますが、このフォルテピアノもなかなか楽しめます。

 
リストパガニーニ・エチュード(完全盤)/大井和郎
[CD/徳間TKCC15211]
リスト超絶技巧練習曲集(初稿)/大井和郎
[CD/徳間TKCC15230]

 「パガニーニ大練習曲」は「俺はピアノ界のパガニーニになる」と宣言して、リストがヴァイオリンの難曲をピアノに編曲しました。ところが世間に膾炙しているのは演奏をし易くした改稿版(1851年版)のほうです。1838年の初稿はホロヴィッツにさえ「演奏不可能」と言わしめています。あのアムランも改稿版しか録音していません。初稿を初めてレコーディングしたのはニコライ・ペトロフですがこれは永らく廃盤になっています。大井和郎のはデジタル録音で、ミスタッチもありません。実演でも弾いて見せて録音技術に頼ったのではない事を証明しています。
 TKCC15211には初稿と改稿の両方が入っていて聴き比べをする事が出来ます。1838年版は「パガニーニによる超絶技巧練習曲」、1851年版は「パガニーニ大練習曲」と区別されています。1番の「トレモロ」を聴くだけでシロウトにも違いは明らか。とにかく「音の数」が圧倒的で、物量的大迫力にただただ驚くばかり。初稿ではパガニーニのヴァイオリン曲を如何に完全にピアノに置き換えるか、自分のテクニックを持ってすればここまで出来るんだというアピールが先に立っています。後年音楽界の重鎮となると、改稿してピアノ曲としての完成度を高めると共に、自分以外の人間にも弾けるようにして後生に曲を残すことを考えたのではないでしょうか。

 同様の「改稿」が超絶技巧練習曲でも行われていて、現在ポピュラーなのは1851年の「第3稿」です。同じく大井和郎によってTKCC15230には1826年の初稿、第2稿とも言える1838年版が収められています。


トスカニーニ ステレオ録音による悲愴[CD/M&A CD1194]

 1954年3月21日、有名なラスト・コンサートの一つ前の録音。一部不手際でモノのところがあって「世界初出」が値打ち。演奏はトスカニーニとしては緩目。


ストコフスキー チャイコフスキー交響曲第5番[CD/M&A CD1190]

 こちらはナント1952年のステレオ録音。チャント左右に分離している。流石ストコフスキー。演奏もストコ節満開。



ラフマニノフピアノ協奏曲第2、3番[CD/M&A CD1190]

 ギーゼキンクの伴奏を務めるのがナント、メンゲルベルグ/アムステルダムコンセルトヘボウ。ギーゼキングとしては派手目、メンゲルベルグは控えめでなんとかバランスを保っている。



バッハ 組曲第3番、ブランデンブルグ協奏曲第3,5番[CD/ARCHIPEL ARPCD0264]

 トスカニーニ、メンゲルベルグとくれば、この人。フルトヴェングラーのバッハものを集めた1枚。ブランデンブルグ協奏曲第5番ってピアノ協奏曲でしたっけ? フルベンが弾くと、通奏低音が独奏に聞こえる不思議な1枚。



ヴェルテ・ミニオン ピアノ・ロールVol1[CD/NAXOS 8.110677]

 ピアノ・ロールとは20世紀初頭、録音技術が未熟でラッパ吹き込みの時代、ロール紙に打ち込まれた「孔」情報を元に専用のピアノを鳴らすシステム。このロール紙に打ち込むのに、打鍵を記録するピアノをピアニストに弾いてもらう。ノイズの中からかすかに聞こえるSPと違ってサンサーンス、ラヴェル、トビュッシー、ストラヴィンスキーの自作自演がデジタル録音で聴ける。ここではレヴインの「美しく青きドナウ」が聞き物。Vol3まであって、ナクソスの廉価版で入手できるシリーズ。



メンデルスゾーン室内楽全集[CD/BRILLIANT BRL99983]

 メンデルスゾーンは「メン・チャイ」だけの作曲家ではないことを示す10枚組。エッシェンバッハ以外はあまりきいたことない名前が並んでいるが、弦楽四重奏等BGMにだけ聴くのはもったいないセット。一枚当たり僅か330円



フォーレ(Op13,Op108)・フランク/ヴァイオリン・ソナタ[CD/PHILIPS 426 384-2]

 これは珍品ではなく名盤。取っつきにくいフォーレやフランクのヴァイオリン・ソナタが、グリュミオーの美音に聞き惚れて、通しで聴いてしまう。


ショパン夜想曲集/アファナシエフ[CD/COCO-70868]

 初めのうちは、テンポの遅さがわざとらしく聞こえるが、慣れてくるとヤミツキになる。スロー・テンポで感激したのはホロヴィッツのトルコマーチ以来。アファナシエフ体験に最適の一枚



ドヴォルザーク/チェロ協奏曲、交響曲第9番[CD/VENEZIA CDVE04246]

 シャフランの弾くチェロ協奏曲狙いで買ったが、カップリングの「新世界」が大正解。ロジェストヴェンスキー/USS RTV大交響曲楽団の豪快な鳴りっぷりで、厄払い。




デームス/グラドゥス・アド・パルナッスム(2CD)
[CD/DEMUSICA75,76]

タイトルはクレメンティの大規模な練習曲集のタイトルに依っているそうです。 バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、シューマン、ショパン、ドビュシー等の曲をイェルク・デームスが各時代のピアノで弾くという趣向です。 バッハは勿論クラヴィコードやスピネット、ショパンはプレイエルという訳です。 これが初めてという企画ではありませんが、演奏、録音が良いのと、それぞれのピアノ(48曲、約30種!!のピアノ)をカラー写真で楽しめます。 シューベルトの野バラにはエリー・アメリンクの歌が付くというおまけもあります。 ハンマーフリューゲルで弾いたモーツァルトの幻想曲K397は特にお薦めです。ゴールドCDのようですし、2枚組¥1786はお買得品!。

カールライスター/オペラファンタジー
[CD/CAMERATA15008]

名人ライスターによる、「椿姫」「リゴレット」「コシファントゥッテ」「魔弾の射手」等のオペラタパラフレーズ集。 このCDの素晴らしさは、小生がつたない文章であれこれ紹介するより、プロデューサーのライナノートを引用するほうが解りやすいだろう。

「フルートのレコードで、いつもベストセラーズを期待してする小品集には、ドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」を加えるのがレコード・プロデューサーの馬鹿の一つ覚えになっている。確かに「柳の下にどじようが2匹」ならぬ、そうしたアルバムが未だによく売れるから、ドップラーの書いたこのピースを日本人がどれほど好んでいるか計り知れない。
 これがクラリネットのアルバムとなると、フルートのような決め手がない。いや、クラリネットの小品集、楽しめるピースなんてみんなが皆無と思っている。ライスターにこの話をしたら、「それでは自分がそのパイオニアになって、超ヴィルトオーゾ・ピースを録音してみよう」と言い出した。なるほど、クラリネットにもこんなに楽しいピースがあるものかと録音していて感心してしまった。
 楽譜のコレクションは、ライスターと私が色々なクラリネット吹きに声をかけて2年がかりで集めた。その大半がオペラのアリアの変奏曲で、クラリネットの超絶技巧を利用して、ソプラノかテノールの歌い手が歌うような、時としてはコロラトゥーラのような華やかな技巧をまき散らしての名人芸を披露する難曲ばかりでせあった。
 しかし、技巧の難しさを聴き手に感じさせては楽しいアルバムにはならない。そこがこのCDの一番のセールスポイントなのだ。成る程、多くのクラリネット吹きが、こうした曲が存在するにもかかわらず、そのアルバムを作らなかった訳が録音してみてわかった。これは、並みのクラリネット吹きでは作れる技ではない。・・・・・」

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