富嶽の仲間達 (2)

目次


シングル・ユニバーサル・アンプ「BIG−ONE」
245/2A3/300Bコンパチ直結シングルアンプ「ZERO-ONE」
善本式RコアOPT パラシングル・ユニバーサルアンプ 
パラシングル・ユニバーサルアンプ「BIG−ONE MarkU」
イントラ反転・ユニバーサルアンプ「BIG−ONE MarkV & MarkW」


シングル・ユニバーサル・アンプ BIG−ONE

BIG-ONE
  「富嶽」の前に作ったシングル・ユニバーサル・アンプです。前段は6267の1段増幅に5687パラのカソフォロ段という構成です。裏蓋を開けない球の交換と調整、+B電圧の変更、ヒーター電圧の調整、アダプターによる全真空管への対応等、富嶽の思想はここから生まれました。アダプター類は富嶽と供用です。
  今刺さっているのは826という送信管です。故宍戸先生の「送信管になる真空管アンプの製作」の表紙にある球の一つです。この写真を見て「こんな球はどんな音がするのだろう」というのがアンプ自作の動機でした。本アンプの詳細は、シングル・ユニバーサル・アンプ「BIG−ONE」の製作記 プレイバック をご覧ください。
BIG-ONE 動作真空管一覧  2000.1.26




245/2A3/300Bコンパチ直結シングルアンプ ZERO-ONE

ZERO-ONE
  BIG-ONEの更に前に作ったアンプです。ベースはネームプレートに有るようにサンオーディオの最廉価キット6V6SEです。端からキットととして完成させる気はなくて、ユニバーサルアンプを作る前の習作としていろんな球を付け替えて遊びました。名前も1号機以前の作という意味の「01」から来ています。BIG-ONEや富嶽の球交換時にいちいち裏蓋を開けないという思想はこの時の経験によるものです。
  現在は「245/2A3/300Bコンパチ直結アンプ」として余生を送っています。バイアスも球に会わせて古典的なカソードバイアスになっています。前段は12AX7のSRPPです。出力管と直結にする為に前段の出はマイナスになっています。この為アンプ入力にコンデンサーが入っています。整流管には水銀封入で、青白く光る83を使っています。水銀管はヒーターが温もって水銀が蒸発してから高圧を流さないと球を痛めてしまいます。このためタイマーリレーを使って高圧の立ち上がりを遅らせています。
ZERO-ONE 回路図 2000.1.25


善本式RコアOPT パラシングル・ユニバーサルアンプ 

構想編   2001.9.1

  珍しいRコアのOPTを使って、またまた懲りずにユニバーサルアンプを作ろう思い立ちました。お馴染みの善本さんがソフトンという会社を設立して作られたものです。写真で分かるようにRW−20はBig−Oneで使っていたタムラのF2007(右側)と比べて明らかに小さい。しかもケース内にぎっしりコアと巻き線が詰まっているという状態ではない。最適重畳直流電流も60〜80mAになっている。
  使用する出力管は小型のものに限られてくる。しかし「富嶽」で試みた6B4GのパラPPは単なるPPにない豊かな音を楽しませてくれた。ここは小さくともBig−Oneでは出来ないパラシングルアンプにすることにしました。球はプレート損失で15W以下クラスになります。
  手持ちで候補になる球は、245、2A3、6B4G等。直熱ビーム管のHY65というのもあります。RW−20にはUL端子があるのでありがたい。
  前段は低内部抵抗の7044の2段増幅にカソフォロ。各球のバイアスを別個に調整できるように片チャンで1本使う。こうするとMT4本にST4本で見た目のつりあいも良い。フィラメントは直流点火だが、2A3の2.5Aは頭の痛いところ。ここは245と2A3は5Vで直列点火にすることにします。こうすれば300Bもパラで無ければ使えるようになります。
  ユニバーサル・アンプの設計は電源が決まればほぼ固まります。本当はPTもRコアにしたかったのですが、適当なものがありません。手持ちにはノグチPMC100Mがあります。240V端子は300Vの+Bに丁度良いが、小さいのでモノでしか使えない。モノ2台は持ち運びに面倒だし、作るにも2台目は精神的に苦痛です。少し大きいがDCで280mVとれるPMC283Mを使うことにします。

と、ここまでは頭の中だけの楽しい作業なのですが・・・。

まずはRコアトランスの音を聞いてみよう   2001.9.5
  作ってみて、どうにも気に入らない音だったらガックリくる。まずBIG−ONEのタムラF2007と換装して音を聴いてみようという気になった。やってみるとF2007の取り付け穴と、RW20のネジの位置がほぼ同一だった。四角にあける時、ジグゾー刃を回すために四隅に空けたドリル穴跡を利用してRW20を取り付けられた。換装して持ちあげて見ると、軽い!!。こんなに軽かったらどこへでも気軽に持っていける。
  しかし、こんなに小さくて軽いOPTでは・・・と、危惧しながらChinaEL156をセットした。

  PM7時〜8時はPCM放送のサービスタイムで全12チャンネルが聞ける。いろんなジャンルの音楽を聴いて見て、非常に素直な音だとの印象を受けた。聴感上ハイエンドが伸びていないように聞こえるのは歪みの少ない為でしょう。低域は重くなく、ふっくらとしています。2管編成のジャズは時としてうるさく聞こえるものですがそれがありません。演歌のサビの部分さえ上品に鳴らしてしまう。これを使ったアンプは、「評論家」と言われる人にはもの足りないと評価されるかもしれない。しかし、我々アマチュアには特別な造りをしなくても品質の良いアンプが得られ、C/Pの高そうなOPTになる予感がします。
  次には色々な球の音をどのように描き分けてくれるかためして見たい。

RW20の実力をちょっと聴いてみよう   2001.9.6
  TELEFUNKENとCHINAのEL156での出力をF2007とRW20とで比較してみました。
  下表の上2段がF2007で下2段がRW20のデータです。周波数は1KHzの1ポイント。F2007の場合は8Ω端子に8Ωのダミー抵抗、RW20には8Ω端子が無いので6Ωの出力端子に6Ωのダミーをつないで測定しました。BIG−ONEも少し「改良」してスクリーングリッド電圧を若干上げてあるのにも関わらず、負荷抵抗が3.5K->5Kになった影響が大きいようで、RW20の方が出力は小さくなっています。重畳流電流を増やして見ても出力は変わりませんでした。負荷抵抗は2.7Kも選べますが、元々インダクタンスがF2007(25H)の半分しか無く、低域での差が大きくなるだけなので止めておきました。
NAME結合Ep(V)Eg(V)Eg2(V)Po(W)Ip(mA)Rl(Ω)
EL156(TELEFUNKEN)5結400-1021016.31253.5K
EL156(CHINA)5結420-721016.31003.5K
EL156(TELEFUNKEN)5結405-10.424512.3805K
EL156(CHINA)5結405-14.324510805K

PX25もやって来て・・・   2001.9.10
  ヤフオクでPX25を落としてしまいました。250と同様、「一度は」という球だったので後悔はしていませんが・・・。
  写真左からSVETLANAのEL34、今回のGEC−PX25,RCA−250、SOVTEK−300Bです。かなりの大型管で250、300Bよりももう少し背丈があります。特筆すべきはプレートの大きさ。250より遙かに大きく300Bをも凌駕しています。
  チェックのためデータを取りました。フィラメンは直流点火で、300Bと同じ「調整抵抗」を用いて4.05Vが得られました。「推奨」条件の400Vで5Kの負荷を使った状態です。BIG−ONEでは前段とカソフォロ結合している為A2動作域に入って出力が伸びます。サイン波の頭がつぶれても出力は増え続け、計算してみて15W近くなってることを知り、あわてて入力を絞りました。きれいなサイン波では10Wでした。Eg(V)が−33Vと3極管としては感度が高いために、6267一段だけの増幅でもオバースイングさせられたのでしょう。
NAMEEp(V)Eg(V)Po(W)Ip(mA)Rl(Ω)
PX25(推奨)400-34662.53.5K
PX25(推奨)500-508.5505.5K
PX25(BIG−ONE/RW−20)410-3310以上605K





パラシングル・ユニバーサルアンプ  「BIG−ONE MarkU」 

        2001.9.22
        2001.10.10 revised

BIG-ONE MarkU
  RW20は優秀な性能を持つOPTであることが分かりましたが、20Hzまで10Wを保証しているF2007に比べると容量が小さいこと、パラシングルとして使うと負荷抵抗として10Kになり各真空管の最適負荷から離れすぎるという面があり、これを用いたパラシングル・ユニバーサルアンプは断念しました。RW20ではいつか6L6やEL34を使ったコンパクトなシングルアンプを作る事にします。
  代わりに「BIG−ONE」をパラシングル用に改造することにしました。「BIG−ONE」の詳細についてはシングル・ユニバーサル・アンプ「BIG−ONE」の製作記 プレイバックをご覧ください。「BIG−ONE」は3つのソケットを持っていますが、この内6C33や826用のセプターソケットを、亡き三栄無線の穴あき鉄板を用いて落とし込みのオクタルに改造しました。ここは「バーサタイル・ソケット」となり、オクタルの場合はそのまま元のオクタルとパラで動作させられますし、UXの場合はUX->オクタル・アダプターを利用して元のUXとバラ駆動します。周りの4本のサポートは、追い出されたセプターソケットに合わせてあり、オクタルへの変換アダプターの固定用です。
  プレート電圧測定端子も各真空管とOPT出の電圧測定用に増設しました。黄色がOPT出、赤がフレート電圧で10Ωの抵抗を介してOPT出と繋がっています。パラシングル時には2つの赤端子の電圧差が0の時、2本の真空管のプレート電圧と電流が一致します。手持ちの球ではペアチューブなぞ無いので、最大出力を得るには2本の真空管のプレート電流を揃えて、倍になったプレート損失を最大限活用する必要があります。
  7119のカソフォロ球の左にくっついているスイッチは、7119の2ユニットを別個に動作させるか従来の「BIG−ONE」のようなパラ駆動させるかの切り替えに使います。826や811のような送信管をA2動作させると20mA以上のグリッド電流が流れ1ユニットでは保たなくなります。カソフォロ球の右の灰色のつまみはバイアス調整、その上の青色の小さなつまみはバイアスのバランス調整です。これでグリッド電圧を変化させて7119のプレート電流を増減し、カソード抵抗(25K/6W)の電圧を調整して、直結している出力管のバイアスを調整します。調整範囲は現在+28V〜−97Vです。
  初段の6267とループNFのON/OFFスイッチや、アンプ前面の5結/3結切り替えスイッチやハムバランサーはそのままです。フィラメント電源回路は変更せず、2本のフィラメントを並列にして直流点火し、ハムバランサーも2本まとめて面倒みています。

(左)BIG-ONE MarkU 6C33    (右)UX->オクタル・アダプター




BIG-ONE MarkU 回路図
  電源部は殆ど「BIG−ONE」のままです。6267の負荷抵抗とパラになる7119のグリッド抵抗は信号の振幅幅を考えると、出来るだけ大きくしいたものです。しかし、7119の固定バイアスでのグリッド抵抗値は最大500KΩと定められています。一方バイアスのバランス用の20Kボリュームを活かすにはアースとの間に抵抗を入れて電位差が出来るようにする必要があります。この抵抗は大まかに見ると22μ/350Vのコンデンサーで交流的にアースされていますから、6267から見ると抵抗値は0です。しかし7119の固定バイアスのグリッド抵抗にはカウントされます。7119のグリッド抵抗は、最大で390Kになりました。6267から見ると2本パラですから、実質195Kという事になって「BIG−ONE」の300Kより小さくなり、その分信号の最大振幅幅は若干小さくなります。
  「SW1」は7119の2ユニットのパラ/個別の切り替えスイッチです。「SW3」は出力管のG2端子をプレートに繋いで3結とするか、+250Vの定電圧電源と繋いで5結とするかの切り替えスイッチです。3結の場合、下側の出力管はよけいな10+10Ωの抵抗を介してフィードバックされます。また、NFB抵抗も少し小さくしてフィードバック量を増やしました。「スワン」等の非密閉タイプでは低域が少し甘くなるのを修正しました。

BIG-ONE MarkU 245パラシングル
  最もパラシングルとして動作させて見たかったのが245です。茄子型古典球には独特の典雅な響きがあり、245はその典型です。しかし、2Wという出力はいくら真空管アンプといえども辛いものがありました。「富嶽」ではPP動作で8.4Wの出力が得られましたが、プッシュプル臭さが出てしまって「典雅な響き」が損なわれてしまいます。パラシングルでリベンジと言うわけです。これは大当たりでした。「富嶽」ほどではありませんが、5.7Wと250シングル以上の出力があり、パラ駆動で低域の充実した「典雅な響き」が得られました。これで聴くスメタナ弦楽四重奏団の響きは万歳三唱の絶品です。
  Ip(mA)は各真空管毎の値です。調整抵抗というのは、フィラメント電圧を調整する抵抗で6.3V/6.6Aの巻き線をブリッジ整流後、平滑コンとフィラメントの間に入れます。245の2.5Vに調整するには約5V落とす必要があり、12.5Wもの発熱があります。245はGmの近いモノ同士2本ペアにして使いましたが、片方のペアは1本あたり規定の1.25Aで2.5Vになるのに、もう一方のペアは電流が流れ易くは1.45Aとなり、それぞれに合った調整抵抗を作りました。

  EL34は20Wを越す出力が得られ、しかも完全A級です。もう少し電圧を下げてプレート電流を増やしてやれればシングル時の12.5Wの丁度2倍の出力になりそうです。
  この中でお買い得はHY65です。プレート損失が245と同じ10Wしか無い、トッププレートの直熱ビーム管です。EL34程度の大きさですが、タイトのがっちりしたベースで明るく輝くトリタンフィラメントを持っています。足はオクタルでプレート以外のピンアサインも6L6と同じで当機でもアダプター無しで使用出来ます。クラコンで1.5Kで買いました。直熱管特有の音離れの良さがあり、ベース、ブンブン、ドラム、カンカンのジャスのスイング感を見事に再生してくれる一方で、クラシックの弦も艶やかにチャーミングに鳴らすという万能タイプです。「富嶽」では14W得られましたが、パラシングルでの動作の方がHY65の良さを100%発揮しているように思います。
NAMEP損失結合Ep(V)Eg(V)Eg2(V)Po(W)Ip(mA)RL(KΩ)調整抵抗(Ω)
245(RCA)10W----256-40-----5.7367K2、1.67/20W
6B4G(USSR)15W----257-45-----7.7507K0.5/5W
HY65(HYTRON)10W3結256-24.4-----6.4357K0.84/10W
EL34(SVETLANA)25W5結460-15.425021.2547K-----------


蛇足 OPTの音

  今回ほぼ同じ回路構成でOPTを差し替え、その音の違いを比較するという体験をしました。また、過去にもOPTの無い「真空管だけの音」というのはどんなものだろう、という興味からOTLアンプを作って見ました。その結果からの結論です。確かにOPTによる音の色づけはあります。RW20の音はF2007に比べて軽くて柔らかい音ですし、OTLにすると音の歯切れが良くなります。同じOPTで球を取り替えても、そのOPTによる色づけはつきまといます。しかし、その「程度」はと言うと、実はカップリングコンデンサーを取り替えたくらいの変化量なのです。勿論各人の好みがあって、たとえ「その程度」であっても譲れない事があります。私の場合はVitaminQオンリーで、ASCの音が滑らかなのを知っていて使っても見ますが、矢っ張り最後には無理してもVitaminQに戻ってしまいます。ならASCは真空管の音の何かを損ねているかというと、決してそんなことはありません。OPTも同様で、コア材や線材が違うのですから音が変わって当然です。しかし、その差は僅かで、球の音の傾向を変えてしまったり、有るべき音を損ねてしまうような事はありません。OPTは長年の技術・ノウハウの積み重ねによって、実質的に単なるインピータ゜ンス変換器と見るべき所まで来ているように思います。


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